シリーズ『AIを味方につける 自分らしい働き方』第7回
「AI、うまく使いこなせていないな」。そう感じることは、ありませんか。
前回、「もし時間とゆとりがあったら、やってみたかったこと」を、問いかけて終わりました。
頭に浮かんだ、その何か。いざやってみようと、足が止まることがあります。「ちゃんと使いこなせるだろうか」「中途半端になって、結局やめてしまうんじゃないか」。
新しいツールやAIを前にすると、私たちはつい、こう考えてしまう。完璧に使いこなさなきゃ、と。
でも、本当にそうでしょうか。
完璧じゃなくて、いい
これは、今、私が実験的に試している話です。
冷蔵庫の中身を把握したくて、レシートをOCR(写真から文字を読み取る仕組み)で読み込むアプリをAIで作ってみたことがあります。スーパーで買ったレシートを読み込みできれば、いつでもAIで献立を考えるのが簡単になるはず——そう考えたのです。
ただ、正直に言うと、スーパーのレシートの読み取りは完璧にはなりません。お店によって書き方や記載はバラバラで、うまく読めないものも多々あります。ただ、現状、冷蔵庫の中身を常に正確に把握し続けるというのも、現実にはなかなか難しいですよね。
でも、使ってみてある時こう感じたのです。
これって、完璧じゃなくても、いいんじゃない?

でも、使ってみてある時こう感じたのです。
これって、
完璧じゃなくても、いいんじゃない?
正直、6割か7割でも中身が確認できれば、「これとこれで何か作れる?」とAIに相談できる。足りないところは、自分で直せばいい。そう割り切った瞬間から、急に便利になりました。
完璧を目指していたときは、うまくいかなくて使うのをやめていた。ほどほどでいい、自分だけが使えればいい、と受け取った瞬間に、道具が動き出したのです。
効率化と、実験のちがい
ここには、ひとつの分かれ道があると思っています。
効率化というのは、今やっていることを、速くすること。これはこれで、ありがたい。
でも、完璧を手放して気軽に使い始めると、それとは別のことが起き始めます。今までやれると思っていなかったことに、手が届くようになる。
献立を考えるのが面倒で、いつも同じものになっていた。家計をちゃんと把握したかったけれど、続かなかった。調べるのが大変で、なんとなく諦めていた何か。
——そういう「面倒で、難しそうで、諦めて後回しにしてきたこと」が、ひとつ、またひとつと動き始める。
これは、ただ速くなるのとは、まるで違う感覚です。
あなたが「面倒だから」と諦めていたことは、何でしょうか。
仕事でも、同じこと
仕事の中でも、同じことが言えるかもしれません。
完璧な仕組みが整うのを待っていると、いつまでも始められない。でも、6割の出来でいったん始めてみて、使いながら直していく。そうやって付き合っていくほうが、結局はうまくいくことが多い。
急いで完成させることより、付き合いながら育てていくこと。私たちとAIの関係は、そういう関わり方のほうが合っているのかもしれません。
おわりに
AIは、まだ完璧な道具ではありません。そして、私たちも、完璧に使いこなせているわけではない。
でも、それでいいのだと思います。
便利なところから、気軽に使ってみる。完璧じゃなくていい。そうやって手を動かしてみると、諦めていたことに手が届いたり、今までになかった扉が、ふっと開く瞬間があるかもしれません。
ただ効率化を求めて急ぐより、そのほうが——よっぽど面白い実験になると思いませんか。
実験ノートで詳しく書いています
本文で触れた「レシートで冷蔵庫の中身を読むアプリ」と、それを使った献立相談の仕組み。完璧を手放したら何が起きたか、そして二つを繋いでみたら何が立ち上がってきたかを、note「マッシュのカケラ」で書いています。
- 実験ノート Vol.7|クラ番の話(前編) — 完璧を諦めたら、7〜8割の精度でも生活が変わった話
- 実験ノート Vol.8|アジ番の話(後編) — 単体では「ちょっと便利」だったものが、繋がった瞬間に「今夜の相棒」になった話
次回は、いよいよ最終回。そうやって実験を重ねる中で見えてきたものから、自分で何を選び、どう進んでいくか。シリーズの締めくくりとして、お話ししたいと思います。
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