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やりたい仕事ができてますか? ― 時間の使い方から考える職場プロセスの再設計

「ふぅ、今日は何をしていたんだっけ?」
そんなふうに一日が終わること、ありませんか?

今回はちょっと「プロセス」という切り口から話してみようと思います。
(私がよく言っている「ツール✕プロセス✕文化」の中でも、今日はその“プロセス”が働き方にどう関わっているか、という観点から)

通知、チャット、会議、電話……朝から対応に追われて、気づいたら夜。けれど、頭の中には「何も前に進まなかった」という感覚だけが残っている。
私自身も、過去にそういう働き方をしていたことがあります。

でも、それは“自分のせい”ではありません。
日々の仕事のプロセスが、私たちから「考える時間」「創造する時間」を奪っているからです。


業務の見直しは、“効率化”のためではない

業務プロセスを見直すというと、「無駄を削って効率化する」と受け取られがちです。
でも、本当に大切なのはその先――「創造的なことに時間を使えるようにする」ことだと思うのです。

最近は「ツールをもっと使いこなそう」という声も多く聞かれます。
でも、いくらTeamsやチャットを活用しても、そもそものプロセスが“振り回される仕組み”のままだと、時間の使い方は変わりません。
むしろ、ツールが“さらに忙しさを加速させてしまう”ことさえありえます。

だからこそ、ツールの使いこなし以前に、「私たちは今どんなプロセスに乗って働いているのか」を一度見直す視点がとても大切なのです。

現場の仕事って、もともとはお客様と直接話したり、誰かの役に立つ実感が得られたり、
“人と関わる時間”に魅力を感じて選ばれてきた仕事だったはずです。

けれど今は、報告、集計、確認、調整…。
いつの間にか“本来やりたかった仕事”以外(間接業務)に時間を取られている 現実があります。

だからこそ、業務プロセスの見直しは、単なる効率化ではなく、
「大切にしたかった時間」にもう一度立ち返るためのきっかけであるべきなのです。


“割り込まれない時間”をつくる

LINEやTeamsなどに代表される非同期型のコミュニケーションは、
相手のペースも、自分の集中する時間も尊重する仕組みです。

電話やその場での声かけのように即時対応を求められる形ではなく、
お互いがタイミングを選べる非同期のやりとりを増やすことが、まずできる改善のひとつです。

即時対応を求める電話と、タイミングを選べるチャット

職場の情報共有は“1回で全員へ”が基本

同じ説明を何度も繰り返していませんか?
チームチャットや共有ノートを使って、チームに向けて1回で伝える工夫をすることで、説明の手間とミスが減り、誰もが後から見返せる状態をつくることができます。


報告会議はやめて、“よかったこと”を共有しよう

報告や確認の会議は、チャットや週報で十分なことがほとんど。
しかも、同僚の報告内容をリアルタイムで聞く必要などありません。
むしろ、貴重な会議の時間を、「最近うまくいったこと」や「ありがとう」と思ったことを共有する時間に変えることで、
チームの空気はグッと前向きになります。

報告するだけの会議から、喜びを共有する時間へ

こうした小さな業務プロセスの再設計が、実は職場全体の「色」を変えていくきっかけになります。
たとえば、上からの報告と確認ばかりだった“アンバー職場”が、互いの良いところを見つけて言葉にする“グリーン職場”に近づいていく。

そう、プロセスを変えることは、職場の文化を変えることなんです。

(※「職場の色分け」について詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください → サワモト式・職場タイプの色分け解説


雑談は“ムダ”ではない

「ムダ話は仕事じゃない」と思っていませんか?
でも、そういうちょっとした雑談の中に、本音やアイデアのタネが転がっていることが多いんです。

Teamsに“雑談チャンネル”を作ることで、リモートでも自然なやりとりが生まれます。
こうした雑談の場づくりも、「どんな関係性を育てたいか」という“文化”の部分と深くつながっているんです。
ツールだけで形を作るのではなく、そこにどんな空気や価値観をのせたいのか――そんな視点やリードの仕方も意外と大事です。

デジタル空間にも、“ムダのようでムダじゃない時間”を取り入れていきましょう。


一度、自分の仕事を“遠くから眺めて”みる

忙しさに追われていると、自分の仕事の全体像が見えなくなります。
だからこそ、ときどき自分の仕事を「少し離れた場所から見る」意識が必要です。

「これは何のためにやっているのか?」
「このやり方がベストなんだろうか?」

本当にやりたかった仕事は、
どんな姿だっただろう?

そんな問いを持って見直すことが、意味のある時間を取り戻すきっかけになります。


これからは、職場ごとに「どう働きたいか」を考える時間がもっと大切になってくる

こうした働き方の見直しは、これまでIT業界や一部の先進企業の中で進んできたものかもしれません。
でも本当は、どんな職場にも、立ち止まって問い直す価値があると感じています。

誰かの役に立ちたい、良い仕事をしたいという思いがあるなら、
それを支える仕組みや時間の使い方にも、きちんと目を向ける必要がある。
それが、これからの働き方を考える一歩になるのかもしれません。


まとめ:時間の使い方から、職場を見直してみよう

〇 集中する時間を取り戻す。
〇 人と関わる時間を取り戻す。
〇 そして、自分の仕事の意味を取り戻す。

そのために必要なのは、自分たちの時間の使い方を再設計する視点です。
プロセスを変えることは、働き方を変えること。
そしてそれは、職場の文化にも、チームの関係性にも、確実に良い変化をもたらします。

「これでいいのかな」と立ち止まる、その感覚こそが、変化の始まりなのかもしれません。

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