第2話 ファイル思考の終わり ─ 「添付して送る」働き方から「一緒に考える」共創時代へ
■ はじめに:「ファイルを添付して共有する」が当たり前だった時代
かつて、資料はWordやExcelで作成し、
プリントアウトして上司に提出、コピーして配布──そんな時代がありました。
その後、ファイルはメールで送るようになり、
社内の共有フォルダ(ファイルサーバー)に保存するようにもなりました。
情報共有の手段としての「ファイル」は、長く私たちの働き方の中心にありました。
でも今、そうした“ファイル思考”の働き方が限界を迎えつつあると感じています。

“ファイル思考”の働き方が限界を迎えつつある
■ テクノロジーの進化は、実は“考え方”を変える力を持っている
近年、Officeアプリのクラウド対応が進み、
ファイルは「添付して送るもの」から「一緒に触れるもの」へと変わりました。
たとえば:
- WordやExcelは共同編集が当たり前に
- PowerPointも、URLを送るだけで共有できる
- リアルタイムで同じスライドにコメントを入れることができる
これまでIT部門が担っていた「ファイルサーバーの共有設定」や「アクセス権の管理」も、今はユーザー自身が責任を持って設定する時代になりました。
■ “共有する”ではなく、“一緒に考える”へ
クラウドによる共同編集の次に現れたのが、Microsoft Loopです。
Loopは、「資料」という単位ではなく、「考えのかけら」をブロック単位で共有するという新しい発想。
- 企画のたたき台の一文
- チェックリストの下書き
- ブレストのメモ
- 会議中に誰かが書き出したメモブロック
これらをファイル化せずに、そのままTeamsの中に埋め込んで使うという感覚。
つまり、これからは「資料やたたき台をつくってから共有」ではなく、
「考え始める段階から一緒に進める」ことが当たり前になってきます。

これからは、「考え始める段階から一緒に
進める」ことが当たり前になってきます
■ でも、職場の意識はそこまで来ていない
Loopや共同編集といったテクノロジーは進化しています。
しかし、職場の側はまだそこまでの変化に対応しきれていない現場も多いのが実情です。
- 未だにメールでファイル添付が基本
- ファイルは一度作ってから渡すもの、という前提
- 途中経過や思考の過程を見せることに抵抗がある
このギャップこそが、“Teamsを使っているのに、しっくりこない”理由のひとつなのです。
■ ファイルの歴史を俯瞰すると、今が転換点にあることがわかる
時代 | 特徴 | 働き方 |
---|---|---|
1. 紙の時代 | 印刷して配布 | 作って → 渡す |
2. ファイル共有の時代 | メール添付/共有フォルダ | 作って → 送る |
3. クラウドの時代 | URL共有/共同編集 | 作って → 一緒に触る |
4. 共創の時代 | Loop/Copilot | 考えながら → 一緒に作る |
今はちょうど、「クラウドの時代」と「共創の時代」の境界線にいます。
この段階で求められるのは、“仕上げてから共有”という習慣からの脱却です。
■ まとめ:変わっているのは「ツール」ではなく「考え方」
テクノロジーは進化し続けています。
でもそれは、単に便利になったということではありません。
- 情報を出すタイミング
- 共有の粒度
- 誰と、どの段階で考えるか
こうした「仕事の前提」が、“ファイル中心の思考”から“思考そのものの共有”へと移りつつあるのです。

“ファイル中心の思考”から“思考そのもの
の共有”へと移りつつあるのです。
次回は、この変化がいかに現場の“二度手間・三度手間”を減らし、
仕事のスピードと質に影響を与えるかを具体的に掘り下げていきます。
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