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【第2回】各色の職場はAI時代にどう変わるか―― 5色の未来予測編

1. はじめに

AIが職場に入ってくるという変化は、単にツールが増えるという話ではありません。
意思決定のあり方、仕事の進め方、そして人と人のつながり方までもが、大きく見直されようとしています。

前回は、AIとヒトの本質的な違いとして「意志があるかどうか」という話をしました。
AIには目的がない。でもヒトには、「なぜやるのか」「どうありたいのか」という意志があります。
だからこそ、これからの職場は「意志あるヒト」がどう振る舞うかが問われていきます。

AIと共に働く時代に、ヒトの意志が生む価値を考える

今回はその視点を持ちつつ、サワモト式で整理した「職場の5つの色」――
それぞれの職場文化が、AIの登場によってどのように変化していくのか。
全体像を見渡しながら、これからのヒトとAIの共存を考えてみたいと思います。


2. 各色の職場はどう変わるか

ここからは、5つの職場の色がAIの導入によってどう変化する可能性があるのかを簡単に見ていきます。

一見同じオフィスビルに見えても、窓の向こうには異なる職場文化が存在します

レッド職場:即応型から、AI一体型のワンマン文化へ

カリスマ的な上司が采配を振るい、部下は命令を即時にこなすレッドな職場。
ここでは上司がAIを使いこなし、ますますスピードと即応性が加速します。
一方で、指示待ちの部下はAIに置き換えられ、徐々に役割を失っていく可能性が高いでしょう。

レッド職場の未来像は「ワンマンAIドリブン組織」
強い個とAIが直結し、ヒトは少数精鋭化していく。
意思を持たないまま、ただ手足として動いていた部下たちは、最初に職を失う層になるでしょう。

アンバー職場:ルールと秩序の守り人から、コンシェルジュ型への転換

手順とマニュアルを守ることで安定を維持してきたアンバー。
しかしAIは、その「正確に繰り返す」仕事をもっと上手にこなします。
そのため、ルール通りにやるだけの業務はAIに代替されやすい領域です。

では、アンバーの人々に未来はないのか?
そうではありません。AIを使いこなし、個別対応や柔らかな判断ができる“コンシェルジュ”型に進化できれば、新たな価値を生み出せます。

つまり、職場文化が「型を守る」から「状況に合わせて判断する」方向に進化できるかがカギになります。

オレンジ職場:成果主義の加速と、AIエージェントとの競合

KPIと成果を追いかけるオレンジな職場は、AIとの相性が良い。
データ分析、効率化、成果の可視化は、AIが得意とする分野です。

部下もAIを使って自分の成果を最大化しようとするでしょう。
しかし、その一方で「成果だけを追う人間」は、AIエージェントと競合し、やがて置き換えられる可能性も高くなります。

今後のオレンジ職場では、「成果をどう出すか」だけでなく、「どんな意志を持ってその成果を目指すのか」が問われるようになります。

グリーン職場:共感と対話の職場が、意志ある進化の土壌に

グリーンな職場は、心理的安全性やチームワークを大切にします。
AIが入り込んでも、「ヒトの気持ちをくみ取る」「納得を大事にする」文化は残ります。

しかし、単に仲良しチームで終わってしまうと、変化に乗り遅れます。
意志を持ったヒトが「どう変わりたいか」を語り合い、AIと共にどう成長していくかを模索できるかどうかが成功のポイントになります。

グリーンは、意志あるヒトが育ちやすい環境を持っています。
そこに“どこを目指すのか”という意志や、“変化を受け入れる柔軟さ”が加われば、AI時代にも強い文化になっていきます。

ティール職場:自己組織化が、AIと共存する未来を描く

ティールは、固定されたリーダーがいない、メンバー全員が目的やビジョンを共有しながら、それぞれが自分の役割を見つけて動く職場です。
この文化は、AIとの共存においても柔軟で、最も可能性のある未来型ともいえます。

個人が「なぜこの仕事をするのか」を深く理解し、ビジョンと意志で動いているなら、
AIはそのサポート役として自然に溶け込んでいく。

ヒトが「意志を持って動く」ことが前提のティール文化において、AIは“仲間”として迎え入れられやすいのです。


3. 職場文化は、変化に応じて育てていくものへ

かつての職場文化は「この職場の仕事はこういう進め方」と、ある程度固定されたものでした。
しかし、AIの登場によって、職場文化は、より高頻度で「変化していくもの」「育てていくもの」になってきます。

  • AIの導入により、職場の意思決定や情報共有が変わる
  • それに伴い、ヒトの役割や関係性も変わっていく
  • そして、その変化に意志をもって向き合うかどうかで、職場の未来が決まる

つまり、今後の職場文化は、一人ひとりの意志と選択によって動的に変化していくのです。

デジタルの浸透とともに、職場文化も「静的な仕組み」から「動的なつながり」へと変わっていきます

4. ヒトの意志がある職場が、強くなる

これから、AIはますます職場に入り込んできます。
“ギスギスした職場”や“ただこなすだけの仕事”は、いっそAIに任せた方がいい、という流れも進むでしょう。

その一方で、人にしかできない仕事――
たとえば「その人に合わせて判断する」「あたたかく応対する」「意味を感じて動く」といったことは、
これから特に価値が高まっていきます。

一人ひとりが意志を持ち、自分の役割を見つけていくことが、
職場を変えていく大きな力になるのではないでしょうか。


次回からは、各色の職場をより深く掘り下げていきます。
まずは「レッドの職場」に起きる変化と、そこで求められる“新しい学び”とは何かを見ていきましょう。お楽しみに。

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