Future Series 第7回:一人ひとりが育む未来 – 立場を超えた新しい関わり方
はじめに
前回の記事では、グリーン社会でのリーダーシップの変容を見ました。リーダーの役割は「消える」のではなく「変わる」。
でも、リーダーだけが変わっても意味がありません。この多元的なグリーン社会は、一人ひとりが新しい役割を担ってこそ成立します。
「誰かがやってくれる」社会から「みんなで作る」社会へ
ある地域で、空き家問題に悩む住民たちがいました。「行政が何とかしてくれる」「誰か熱心な人が動いてくれる」。そう思っていたけど、状況は変わりません。
そんな時、一人の若者が「自分たちで何かできないか」とオンラインで呼びかけました。
高齢者は昔の町の写真をデジタル化し、会社員は週末に清掃を手伝い、若者はSNSで発信する。全員が全部できるわけじゃない。でも、一人ひとりができることを持ち寄ったら、少しずつ変わり始めました。
これは小さな町の話ですが、社会全体でも同じことが起きています。こうした変化の背景には、私たちの価値観が大きく変わり始めていることがあります。
オレンジからグリーンへ:一人ひとりの変化
第1回(リンク)で見た色分けを思い出してください。
オレンジ時代(成果主義・競争の時代)では、「上から指示してくれる」「言われたことをやればいい」「自分だけ良ければいい」という価値観が支配的でした。
これはシンプルでした。でも、ダイバーシティの進んだ多元的なグリーン社会では通用しません。
グリーン社会では、こういう価値観が求められます:
「自分だけ良ければいい」から「みんなで良くする」へ。 「批判するだけ」から「一緒に作る」へ。 「誰かが何とかする」から「自分も当事者」へ。
なぜなら、多様性を尊重し、すべての声を聞く社会は、一人ひとりが参加してこそ成立するからです。
AIが支援する、新しい参加の形
グリーン社会は「すべての声を聞く」社会です。でも、多くの人は「自分の意見なんて」と黙ってしまいます。
AIは、この「参加のハードル」を下げてくれます。データ分析が苦手でも、AIが整理してくれる。面と向かって話すのが苦手でも、AIを介して意見を出せる。第5回(リンク)で見たPolisのような仕組みは、すべての意見を平等に扱い、対立を創造に変える手助けをしてくれます。
全員が100点である必要はありません。でも、60点くらいあれば、参加できます。

データ分析が苦手でも、AIが整理してくれる
面と向かって話すのが苦手でも、AIを介して意見を出せる
Polisのような仕組みは、すべての意見を平等に扱い、
対立を創造に変える手助けをしてくれます。
全員が100点である必要はありません。
60点くらいあれば、参加できます。
本来やりたかったことに、向き合える時間
でも、AIが私たちにもたらす最も大きな変化は、実はこれかもしれません。
時間です。
昭和から平成にかけて、私たちは「量をこなすこと」「スピードで対応すること」を求められてきました。形式的な報告書、前例踏襲の手続き、蓄積されたお作法のような業務。誰もやりたくてやっているわけじゃない作業が、どんどん増えていきました。
でも、これからは違うかもしれません。
AIが、そうした「やらなきゃいけないけど、本当はやりたくない」作業を担ってくれる。データ整理、情報収集、形式的な文書作成、定型業務。
そうしたら、私たちに何が生まれるでしょうか?
本来やりたかった仕事に、戻れます。
創造的な仕事に、もっと集中できます。 人と対話する時間が、もっと増えます。 自分が本当に価値を生み出せる部分に、時間を使えます。
そして、もっと大きな変化があります。
今まで「やった方がいいと思ってはいたけど、手が付けられなかった」ことに、時間を使えるようになるんです。
地域社会の活動に、参加できます。 政治や社会問題に、もっと関心を持ち、声を上げられます。 仕事以外の人との繋がりを、もっと作れます。 社会をよりよくすることに、もっと参加できます。

地域社会の活動に、参加できます
政治や社会問題に、もっと関心を持ち、声を上げられます
仕事以外の人との繋がりを、もっと作れます
社会をよりよくすることに、もっと参加できます
冒頭の地域コミュニティの話を思い出してください。会社員が週末に参加できたのは、時間的な余裕があったからです。
仕事に追われて「忙しいから」「余裕がないから」と諦めていたこと。AIがそういう時間を生み出してくれるなら、私たちは、自分が本当に大事だと思うことに時間を使えます。
そして、協力して、社会をよりよくしていけます。
これが、オレンジからグリーンへの移行です。量とスピードの時代から、質と対話と協創の時代へ。
AIは、この変化を支援してくれます。効率化のためだけでなく、人を減らすためでもなく。私たちが本来やりたかったことに戻り、社会に参加するために。
完璧なグリーン社会は、まだどこにも存在しません。でも、少しずつ、試しながら、私たちは前に進んでいます。
そして、それが、より良い暮らしにつながるかもしれません。
社会の転換期は混沌としています。でも、AIは私たちに時間を返してくれる。本来やりたかった仕事に戻り、社会に参加する時間を。
未来は、私たち一人ひとりの手の中にあります。
本記事は Future Series:これからの社会と共創の未来 の一部です。