第3回:「プロンプト力」より「関係性」-AIと向き合う、新しい習慣
はじめに:なんて伝えればいいの?
AIに相談するとき、「うまく伝えられない」「なんて言えばいいのか分からない」と感じたことはありませんか?
2022年後半にChatGPTが登場して以来、「プロンプトの書き方が大事」といった“お作法”が話題になってきました。でも、2024年春に登場したChatGPT-4oあたりから、もうそんなに気にしなくてもいいのでは?という空気が出てきています。
実際、今のAIは、私たちがふだん使う言葉だけでも、十分にその力を発揮してくれます。そう、実際には「言葉の上手さ」よりも、「状況をどう共有するか」の方が、よっぽど大切になってきているんです。
今回は、日常のあるあるなシーン――たとえば「週末の予定を立てるとき」や「天気に合わせた服装を考えるとき」――を通じて、AIとの“関係性”を育てる使い方をちょっとだけご紹介します。
※このシリーズは、ChatGPTに限らず、CopilotやGemini(旧Bard)、Claudeなど他の生成AIにも共通する考え方を扱っています。特定のツールに依存せず、生成AIとの関係性そのものに焦点を当てた視点としてご活用ください。
相談したくなる瞬間って、こんなとき
たとえば、ある金曜日の朝。
「今週末どうしようか。土曜は雨っぽいし、日曜は晴れるらしい。天気に合わせてどんな予定が組めるかな?」
こんなふうに考えること、ありますよね。誰かと相談したいけど、家族も友人も忙しそう。 そんなとき、ふと思い立ってAIに聞いてみたんです。
「雑談レベル」で投げてみた
「今週末、土曜は雨。屋内でのんびりしたいけど、ちょっと気分転換もしたい。 日曜は晴れだから、妹を呼んでBBQとか、外でのんびりできることを考えたい。」
するとAIは、
- 土曜は美術館や図書館、近場のカフェで静かな時間を
- 日曜は、買い出しや仕込み、会話も含めて楽しめる“気負わないホームBBQ”の提案
を返してくれた。
この時、「あ、自分は“誰かとのつながりがある心地よい週末”が欲しかったんだな」と気づいたんです。 天気に合わせて、内から外へ、ひとりから誰かと、そんな自然な流れが自分の中にあるって気づいた、どうです、ちょっと面白いと思いませんか?
Point:言い方じゃなく、前提を伝えること
このやりとりの中に、自然と4つの要素が入っていました:
- Goal(目的):週末を気持ちよく過ごしたい
- Context(背景):土曜は雨、日曜は晴れ
- Expectation(期待値):天気に合わせたプランを提案してほしい
- Source(材料):特に指定なし。気分と天気だけ
こうした前提があるから、AIは「それっぽい提案」ではなく、「その人の暮らしに合った提案」をしてくれる。
つまり、“命令の上手さ”より、“状況の丁寧な共有”がカギになるのです。
鳥のように、少し高く舞い上がってみる
検索に慣れている人ほど、
「このキーワードで探せば、それっぽい情報が出るはず」と
自然と“検索に最適化された問い方”をしてしまうことがあります。
でも、AIとの対話では、その前にちょっとだけ「一歩引いて」みるのがコツ。
ここで言う“一歩引く”って、ただ距離を取るって意味じゃなくて――
すでに解像度が上がってしまっている自分の思考から、あえて少し離れてみること。
「そもそも、自分は何をしたかったんだっけ?」
「どんな目的があって、AIに話しかけようとしてるんだろう?」
そうやって、“キーワード”じゃなく“目的”から相談してみると、
AIは文脈を汲み取って、思いもよらない視点や選択肢を返してくれることがあります。
まるで鳥のように、ちょっと上から全体を見てみたら、
思ってもみなかった道が見えてくる――そんな感じです。
AIとのやりとりは、ただの検索じゃなく、
「目的に立ち戻ることで、視野が広がる」体験になるんです。

「そもそも、自分は
何をしたかったんだっけ?」
AIとのやりとりは、目的に立ち戻ることで
視野が広がる体験になるんです
自分にとっての“新たな気づき”
AIとやりとりしているうちに、
「そっか、自分って本当はこうしたかったんだな」と、ふと気づくことがあります。
たとえば、先ほどのやりとりでは――
「土曜日はひとりでのんびりしたい。日曜日は誰かと一緒に過ごしたい」
というように、週末をどう過ごしたいかという“考えの整理の時間”になっていたんです。
これまで私たちは、そういう気持ちを頭の中だけで考えていました。
でもノートに書き出して整理するように AIに相談してみることで、
複雑な感情や整理できていなかった思いが、少しずつ整っていくのです。

AIはツールであると同時に、
“考えを整理する相手”にもなる
AIとの対話は、ただの情報取得じゃなく、
「今の自分を整理する時間」になってくれます。
だから、AIは「拡張脳(Extended Mind)」とも呼ばれるんです。
ツールというより、自分の思考を外に出して整えるパートナー
AIとの対話は、自分の行動を決める前に、
「何を大事にしたいのか」を見つける時間にもなってくれるんです。
おわりに:うまく話そうとしなくていい
AIに何か聞くとき、最初からうまく伝えようとしなくて大丈夫。
「こんなこと考えてるけど、まとまらないな…」という状態で話し始めても、 AIはそれを一緒にほどいてくれます。
次回予告:「間違えるAI」とどう付き合うか
よく「AIはウソをつく」と聞くことはありませんか?
でも、その“ウソ”をどう捉えるかで、AIとの付き合い方は大きく変わってきます。
「正確さ」ではなく、「一緒に考えるプロセス」を意識して使ってみると、
AIは“答えを出す道具”ではなく、“壁打ち相手”として本領を発揮しはじめます。
次回は、AIの“間違い方”の背景や、そこから価値を引き出す視点についてお話しします。